大判例

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最高裁判所第一小法廷 昭和24(オ)19 判決

主 文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人等の負担とする。

理 由

上告代理人佐久間渡の上告理由第一、二点について。

原判決の認定した事実は、被上告人は先代の時から訴外D(上告人A1の妻)に

対し本件土地を賃貸し、Dは右地上に居宅及び倉庫各一棟を所有して居た。被上告

人は先代Eの承継人としてD及び上告人A1を債務者として、本件土地の明渡につ

いて和解調書(字都宮区裁判所昭和十年(ハ)第三八六号事件)の執行力ある正本

を有しこれに基いて強制執行をしようとしていたが、昭和一五年に右Dより被上告

人を相手方として調停の申立(字都宮区裁判所昭和十五年(ユ)第二号)があり、

その結果同区裁判所において、昭和一六年二月二〇日に(1)Dは被上告人に対し

同年五月末日限り本件地上にあつたその所有家屋より退去して敷地を明渡すこと(

2)右期間内に(1)の明渡があつた場合に限り、被上告人はDが同年五月末日限

りF若しくはその一族の者に右地上建物を売渡すことを承認し且つ(3)その場合

にはその買受人と本件土地について賃料一ケ月一坪につき金七銭(原判決に一ヶ月

金七銭とあるは一ヶ月一坪につき金七銭の誤記と認める)の割合を以て賃貸借契約

をなすことを承認すること等を内容とする調停が成立したこと、その後Dは右調停

に定めた期限内に地上家屋から退去して本件土地を明渡すことをしなかつたので、

この不履行に因つて、仮令Dより上告人等主張のGに対し地上家屋が譲渡されたと

しても、これに伴い同人に対する賃借権設定の承認は、その結果を生じ得ず従つて

Gは本件土地の賃借権を有しなかつたことを夫々認定し、上告人等の本件土地の占

有を不法なものと判断したのである

上告論旨第一点の前半及び第二点は調停の内容に関する原審の事実認定を非難す

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るに過ぎないのであるが、原審の挙示した証拠によれば、原審の如き認定をなし得

ること明らかであつて、論旨は事実認定を非難するに帰するから、上告適法の理由

となり得ない。また論旨第一点の後半は仮に訴外Dと被上告人間の調停の内容に原

審認定の如き条件が附されて居たとしても、その条件は訴外Hの関知しないところ

で、同人に対しては効力がないといふに帰するが、当事者が調停の内容として、原

判決認定の如き条件を附け得ることは明らかであるから、その条件が成就しなかつ

た場合には、Dが第三者であるGに譲渡しても、その譲受人が調停の内容に従い敷

地の賃借権を取得し得ないことは当然である。のみならず原審は仮にHが有効に本

件賃借権を取得したと仮定しても、同人より上告人A2に対する右賃借権の譲渡に

ついては、賃貸人である被上告人の承諾がなかつたことは上告人等の自認するとこ

ろであることをも理由とし、この理由からしても上告人等の本件土地の占有は不法

であると判断しているのであるから、原判決には何等理由不備の点はなく、論旨は

採用し得ない。

よつて民訴第四〇一条、第九五条、第八九条を適用し、裁判官全員の一致により

主文の通り判決する。

最高裁判所第一小法廷

裁判長裁判官 岩 松 三 郎

裁判官 真 野 毅

裁判官 斎 藤 悠 輔

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